仕事や日々の雑事に煮詰まると、「ムズムズ病」が顔を出します。
あ〜〜、どこか遠くへ行きたいっ! 日常を忘れ、心身が解放されるような、気持ちのいい場所へ……。でも、そうそう遠くへ旅する時間をとれるわけでもなく。そもそも忙しいから、煮詰まっているわけで。
そこで筆者がよく足を運ぶのが、身近な宗教施設です。神社やお寺だけでなく、キリスト教やイスラム教の教会も、信者でなくとも入ることができるんですよ。こういう場所に行くと、ほんの短い時間でも心身がリフレッシュされるから、不思議。建物の美しさに癒やされるだけでなく、やはり宗教的な場所には、日常でたまった穢(けが)れをはらってくれる何かがあるように思います。日本にいながらにして、外国に行った気分になれるのもお得な感じ。今回はクリスマスも近いということで、「ニコライ堂」の名で知られる東京復活大聖堂をご紹介します。
1堅苦しい雰囲気がないので若い方でも気軽に行くことができそう
JR御茶ノ水駅を降りて聖橋方面に少し歩くと、独特なドーム型の建物が目に飛びこんできます。これが東京復活大聖堂。1891年(明治24年)にロシア人のニコライ神父によって建てられました。見学に特に予約はいらず、入口で拝観料300円を払って中に入ります。
一歩入ると……まるで中世のヨーロッパ! 薄暗い中に、大きなシャンデリアや暗赤色のカーペット、燭台、ステンドグラス、そして金のゴージャスな枠でふちどられたイコン(聖人の絵)がズラリと並んでいます。ウロウロしていると、ボランティアの方がいろいろ解説してくださいます。
解説によると、この教会は「ギリシャ正教」という、キリスト教の原初の形にもっとも近い教派。聖書の教えをきっちり守れというよりは、日常の中で神に護(まも)られている感覚や、慈悲の心を大事にする、ゆるめの教派だそうで……。罪や罰の概念もないそうです。そのせいか、あまり堅苦しい雰囲気がありません。また、他の宗教や文化も否定しないんだそう。それって、いいなぁ。そんな開かれた空気なので、日本の神道の人たちも訪れてくるのだとか。ふうむ。キリスト教というとストイックで近寄りがたいイメージがあったのですが、ちょっと認識が変わりました。
縁結びにもおすすめ
ロウソクはイコンの前に供えますが、イコンは拝むためのものではなく、神様の世界とつながるためのツールなのだそう。何かラッキーなことがあったら、神様に護られているということだから、そのときの感覚をずっと大事にし、感謝しなさい、とギリシャ正教では教えているのだとか。…生かされていることに感謝する、日本の八百万(やおよろず)の神信仰にも似たものがありますね。いろんな宗教が細かく分かれる以前、世界はみんな同じような考え方をしていたんだと思います。
身近な場所にあるにも関わらず、意外と知られていないこういったスポット。なんだか敷居が高いと思われがちですが、意外とそんなことはないので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう? こんな大聖堂でデートをするもよし。縁結びのお祈りに行くもよし。ただただ教会の空気に触れに行くもよし。また24日の礼拝は誰でも参加できるらしいので、本来のクリスマスの意味である「キリストの降誕」を祝いながら静かに過ごすのも、趣があってよさそうです。
ファッションもデートスポットにあわせて雰囲気をかえてみて
東京復活大聖堂
東京都千代田区神田駿河台4-1
拝観時間
4月〜9月 13:00〜16:00
10月〜3月 13:00〜15:30
主の降誕祭 前晩祷12/24(水)18:30〜
(アオノミサコ)