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収入を期待する施設と宣伝効果を期待する企業「ネーミングライツ」という言葉を知っていますか?企業名や商品名などを、主にスポーツ施設の名前につけることができる権利です。ネーミングライツは、施設側には収入が得られるメリットがあり、企業側には宣伝効果が期待できます。日本では、2000年代からプロ野球の球場に企業名をつける例が増えており、知っている人も多いでしょう。有名どころでいえば、「福岡 ヤフオク!ドーム」や、「京セラドーム大阪」などがあります。
さて、このネーミングライツですが、以下のような問題を抱えています。
1)地方施設にはネーミングライツの売却希望企業が現れない
2)住民の合意が得られない
3)施設名の変更による混乱が起きやすい
4)企業側の不祥事によりイメージダウンにつながる
地元住民の施設への愛着が名称変更のハードルになる場合も
まず、1については、2年前から滋賀県が県内18施設のネーミングライツ売却を試みたところ、現在のところ1件しか成約していないというニュースを目にしました。企業側は、広告効果による営業収益の増加を目的としてネーミングライツを購入するので、費用対効果を考えます。大きな大会が少なく、大衆の目に触れる可能性の低い施設については、購入に二の足を踏むということにもなるでしょう。
また、ネーミングライツは一般大衆向けの広告ですから、消費者に向けた商品を手掛ける企業にこそ有意義です。そういった企業の少ない都市では、「募集しても売れない」というのが現実となってしまいます。
2については、広島市民球場がネーミングライツの売却を企画した際に「市民球場」という名称を愛するファンからの反発にあい、募集を断念したという出来事がありました。やはりスポーツ施設である以上、地域住民に愛されなくてはいけません。その辺の折り合いは重要になってきます。
施設の名前が定着せず、地域に根付かない可能性も
3については、ネーミングライツの契約期間にも関わってきますが、短期間でころころ名前が変わることで施設の名前が定着せず、地域施設として根付かなくなるという問題です。オリックスの本拠地である旧グリーンスタジアム神戸が、「Yahoo! BBスタジアム」から「スカイマークスタジアム」から「ほっともっとフィールド神戸」と、12年間で3回名前が変わった例があります。私は地元民ですが、名前が変わってからも「グリーンスタジアム」と言われた方がいまだにピンときます。…