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睡眠と覚醒のリズムを生み出す体内時計を調節する「ペースメーカー」として働く細胞を、マウスを使った実験で特定したと筑波大の柳沢正史教授らの研究チームが発表した。論文は4日付の米科学誌ニューロン電子版に掲載。研究が進めば、睡眠障害の治療に役立つ可能性があるという。
体内時計は複数の遺伝子が集まった「時計遺伝子」として、日の光を浴びる生物のほぼ全ての細胞に存在。哺乳類では全身の時計遺伝子を制御する神経細胞は、両目と脳をつなぐ神経が交わる「視交叉上核」と呼ばれる部位に存在するが、具体的にどの細胞が中心的な役割を担うか分かっていなかった。
柳沢教授らは米テキサス大との共同研究で、視交叉上核にある神経細胞の約40%を占め、神経ペプチド「ニューロメジンS」を作る働きをしている特定の細胞に着目。遺伝子操作でこの細胞群の時計遺伝子の働きを乱すと視交叉上核全体、さらに個体の行動リズムも乱れることを証明し、ペースメーカー細胞であると結論付けた。
ただ、時計遺伝子の働きを乱すのではなくニューロメジンSを作れなくしただけではリズムに影響はなく、体内時計に重要な役割を果たす神経伝達物質はまだ明らかになっていないという。