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竹島、従軍慰安婦をめぐって冷え込んでいる日韓関係、尖閣諸島問題に端を発した日中関係――今や東アジアは、世界でもっとも「衝突の起こりうる可能性の高い」地域とされ始めた。情勢の混迷ぶりは周知の事実だが、それと同時に日本では、ナショナリズムが戦後数十年の中では見られなかった形で高揚している。ネット右翼、いわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる人々の登場、在日韓国人の集まる東京・新大久保や大阪でのヘイトスピーチ、それに反対する人たちとの衝突も頻発している。また町中の書店には嫌韓・嫌中を煽るヘイト本が数多く並ぶなど、さまざまな場所で私たちの生活の中に顕在化し始めている。
一体なぜ、ナショナリズムはこんなにも日本で盛り上がりを見せ始めているのだろか。
その問いに一種の道標を示してくれるのが、書籍『ナショナリズムの現在 <ネトウヨ>化する日本と東アジアの未来』(朝日新書)だ。哲学者や歴史学者などの異なる立場の論客たちが、現在の日本のナショナリズムの正体を浮き彫りにし、その行方について議論を重ねた本書。その中で漫画家の小林よしのり氏は、今日「単なる排外主義としてのナショナリズムがかなり一般的になってしまった」と語る。
小林氏は、今から17年前の1998年に、後のベストセラーとなった『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』(幻冬舎、以下『戦争論』)を発表し、「新しい歴史教科書をつくる会」の運動にも携わった、いわば今日のナショナリズムの火付け役となった人物。同書に登場する評論家・宇野常寛氏も「(小林氏が『戦争論』を世に出した)この時期を境に、『戦前の日本を肯定的に評価することは絶対に許されない』というような、いわゆる『戦後民主主義』的な建前が壊れ始めていった」と指摘している。
その小林氏は、『戦争論』を発表した当時と今では、ナショナリズムの形が大きく変わっていると話す。曰く、90年代後半の日本はまだ自虐史観一色で、政治家が「戦前の日本は中国や韓国に善いこともした」などと発言しようものならば、「たちまち首が飛んでいた」。しかし、今では夕食時に放送される討論形式のバラエティー番組でも中国や韓国を批判するコメンテーターが増え、「今ではべつに『ネトウヨ』でない一般の日本国民も、中国や韓国がどれだけ反日的かを知ってしまっている」。その結果、日本のナショナリズムが、先述の「排外主義としてのナショナリズム」に成長してしまったというのだ。…