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第15回世界陸上競技選手権大会に出場するマラソン選手が決定3月11日に日本陸上競技連盟が、第15回世界陸上競技選手権大会(2015年・北京)に出場するマラソンの日本代表選手を発表しました。男子は今井正人(トヨタ自動車九州)、前田和浩(九電工)、藤原正和(Honda)の3名、女子は前田彩里(ダイハツ)、伊藤舞(大塚製薬)、重友梨佐(天満屋)の3名が選出されました。
会見では、横浜国際女子マラソンで優勝した田中智美(第一生命)が選ばれなかったことに対して、スポーツジャーナリストの増田明美さんを筆頭に記者たちの質問が集中しました。過去にも同じようなことがあり、今回もすっきりしない結果になってしまいました。増田さんは、公の場で異議を唱えることで、マラソンの代表選考における問題を表面化させたいと思ったのではないでしょうか。
優勝者ではなく、レース内容が重視された今回の選考
曖昧な選考理由により落とされた選手はもちろんかわいそうですが、選ばれた側の選手も気持ち良く祝福されず結果的に誰もが幸せになれません。このような現行の選考方法は、未熟だと言わざるを得ません。
今回、最も注目すべき点は「レース内容で選考した」というところです。優勝者が選ばれず、レース内容の良かった者を選考するのであれば、選手たちは「世界で勝負できるということをアピールしつつ、記録を出さなければいけない」ということになり、自分のスタイルで勝負することができなくなります。
また、指導者という立場で考えたとき、この選考理由は選手の可能性を狭めてしまうのではないかと思います。選手には、前半から突っ込むことを得意とするタイプもいれば、後半追い上げていくことを得意とするタイプもいます。そもそも参加する選手のレベルによっても、レース展開は変わってきます。複数レースで、レース内容を重視するのは矛盾が生じても仕方ないと思います。
東京オリンピックも視野に入れ「アスリートファースト」の選考を
では、一発勝負にしたらどうか。この方法が最もわかりやすく、誰もが納得する結果になるのでしょうが、複数レースで選考するのは陸連の財政的な側面もあるのではないかと想像します。
代表が決まるような注目レースは複数あった方がお金は集まると思いますし、選手が所属する企業側にとっても注目されるレースがたくさんあることは魅力です。しかし、一発勝負ではけん制し合ったスローなレース展開になり、それこそ世界で勝負できない選手が優勝することもあり得るため、強い選手を選考することにはならないと思います。
東京オリンピック・パラリンピックも視野に入れて、選手第一の観点に立ち、現在の「アスリートファースト」ではないマラソンの選考方法を見直してほしいと思います。
(川口 博正/スポーツトレーナー)