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政府が13日に閣議決定、国会に提出予定の労働者派遣法改正案は、早くも今国会での成立が危ぶまれている。野党は「派遣労働の固定化につながる」と反対し、厚生労働省の担当課長が派遣労働者を「モノ扱い」発言したことで攻撃を強めているのだ。
▼火消し躍起の大臣
「派遣で働く人たちの立場を守りながらステップアップしていく改正案だ。今国会で通してほしい」
塩崎恭久厚生労働相は6日の記者会見で改正案の意義を強調した。課長のモノ扱い発言には「誤解を招く不用意な言葉。改めておわび申し上げたい」と陳謝し、火消しを急いだ。
課長は1月末、派遣業界団体の新年会で派遣労働者を「これまで使い捨てというモノ扱いだった。ようやく人間扱いする法律になってきた」と発言。民主党が2日の衆院予算委員会で指摘した。
派遣労働は現在、企業が派遣労働者を受け入れる期間について通訳や秘書、事務機器操作など26の「専門業務」は無期限、それ以外の「一般業務」は同じ職場で最長3年が期限となっている。改正案は専門業務と一般業務の区分を撤廃し、派遣労働者は3年後に別の職場に移ることが認められれば同じ派遣先企業で働くことができる。
民主党はそもそも改正案について、非正規雇用が増え労働格差が拡大すると反対してきた。そこに課長発言があり「改正案が成立すればモノ扱いから人間扱いになるのか」(山井和則衆院議員)と攻撃を強めている。5日の厚労部門会議には課長を呼び出し、「発言は不用意というよりも的確な表現だ」「課長が廃案を“促進”するのは素晴らしい」と痛烈な皮肉を浴びせた。
▼過去2度の“自滅”
政府は、今回ばかりは成立を急ぐ事情がある。
派遣先企業が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、派遣先企業は派遣労働者を直接雇用したとみなされる「労働契約申し込みみなし制度」が10月に施行される。
みなし制度が適用される違法派遣の一つに「派遣期間の制限に抵触する派遣」がある。これに抵触しかねないのが「専門業務」とされる職種だ。秘書の場合、実は「お茶くみ」は本来の専門業務に該当しない。改正案が成立しなければ10月以降、派遣労働者が「専門業務外の仕事をやらされた」などと訴え、派遣先企業に正社員として雇用を求める訴訟を起こす事態が相次ぐ可能性があるのだ。
改正案はこれまで2度の廃案を経験した。条文の誤りや塩崎氏の答弁ミスという自滅行為によるものだった。3度目の今回も身内の失策があり、自民党からは「呪われた法案」(厚労族)と揶揄(やゆ)されている。(岡田浩明)