兵庫県尼崎市の連続変死事件で、殺人罪などに問われた角田（すみだ）美代子元被告（自殺、当時６４歳）の次男・優太郎被告（２８）の裁判員裁判の公判が６日、神戸地裁であり、検察側は懲役２５年を求刑した。

　　論告では「落ち度のない被害者を虐待して苦しめ、命すら奪った卑劣極まりない犯行」と主張。弁護側は最終弁論で、１件の殺人など四つの罪で無罪を求め、結審した。判決は３月１８日に言い渡される。

　　優太郎被告が起訴されたのは２件の殺人など死亡した同居の５人に関する七つの罪。一連の事件で起訴された美代子元被告の親族ら７人のうち、求刑は初めて。

　　検察側は論告で、優太郎被告は、主犯格の美代子元被告に意見を言えるなど集団生活の中で上位の立場だったと強調。「恵まれた生活を維持するため、元被告の虐待を認識しながら従った」とし、２件の殺人罪を含む４人の事件で元被告と共謀が成立するとした。その一方で、「本来なら無期懲役か懲役３０年が相当だが、一連の事件は美代子元被告が主導し、優太郎被告は従属的だった」と述べた。