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災害を背景とする地価の変動が、各地で続いている。18日に公表された公示地価では、東日本大震災による液状化や台風で被害を受けた千葉県我孫子市の地価が大きく下落した。一方で、内陸部に位置し、津波の危険が小さいとみられている静岡県藤枝市の地価は上昇。被災リスクの差が明暗を分けた格好だ。
住宅地で全国最大の下落率(10.9%)となった我孫子市布佐酉町。理容業を営む川添勝順さん(70)が嘆いた。「景気の良い頃はよく稼いだけど、今はほとんど客がない。震災や水害の後、新しく移り住む人は少ない」
同町を含む布佐地区は、東日本大震災による液状化の被害が集中し、約120戸が「全壊扱い」となった。追い打ちをかけたのが2013年10月の台風26号の水害だ。総雨量282ミリという記録的な豪雨が震災時の広範囲な地盤沈下と重なり、約400戸が浸水するなど大きな被害が出た。家が取り壊された空き地が点在し、地区の外に転居したまま戻らない人も少なくない。
水害対策として、従来の7.6倍の処理能力をもつポンプ場が今月末に稼働する。しかし地盤強化のための再液状化防止策は費用負担を懸念する住民が反対し、実現しなかった。
地元の不動産業者は「以前は土地も安くすれば売れたが、今は買い手が見つからない」と言う。市課税課は「長い目で見れば、固定資産税が減り、市財政に影響を及ぼすだろう」との見通しを語る。
藤枝市は、静岡市に20分以内で通勤できる内陸のベッドタウン。以前から人口は増えていたが、津波リスクを避けようとする人が沿岸部などから転入し、地価が0.2%上昇した。
JR藤枝駅の周辺は高層マンションが建ち並び、さらに建設工事が続く。東日本大震災の起きた11年から今年2月までに、同市の住民は1500人以上増え、約14万6500人になった。
市内の不動産業者は「沿岸部からの流入が一段落したら土地の需要は細るのでは」と慎重だ。だが市は、駅周辺の図書館や公園の整備で子育て世代の転入促進を図る。市の担当者は「便利になった市街地が新住民を引きつけ、活性化につながっている」と話す。【橋本利昭、平塚雄太】