民主党は12日、安全保障法制に関する党内協議をスタートした。政府・与党は4月の統一地方選後に、集団的自衛権の行使容認を含む安保関連法案を国会に提出する方針で、これに対する「党方針」をまとめるのは岡田克也代表の「公約」だ。ただ、協議メンバーには行使容認で賛否が分かれる保守系とリベラル系議員が混在しており、意見集約が難航する可能性もある。
「安倍内閣がどんどん右寄りの政策を打ち出している。野党第1党として、選択肢をしっかり示さねばならない」。岡田執行部で初の党安全保障総合調査会役員会が同日開かれ、会長の北沢俊美元防衛相は取りまとめに意欲を示した。
今後は週1回以上のペースで議論し、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」など5項目について意見集約する方針だ。
調査会の副会長には、社民党出身でリベラル系の辻元清美元副国土交通相や、保守系の長島昭久元副防衛相らが並ぶ。党内には「バランス重視」との評価がある一方、「代表選後も『決められない体質』では目も当てられない」(党関係者)との懸念もある。今後は支持団体の連合からも意見を聞く予定だが、取りまとめの時期は決まっていない。【福岡静哉、佐藤慶】安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党代表質問が16日午後の衆院本会議で始まった。民主党の岡田克也代表は、首相の経済政策について「成長の果実をいかに分配するかとの視点が欠落している」と指摘し、「成長と格差是正を両立すべきだ」と批判。首相が成果を強調する農協改革を「重要なのは農家のための農政改革で、その道筋が全く見えない」と問いただした。
岡田氏は首相の経済政策を「短期的に株価を上げる政策に重点が置かれ、本質的な成長戦略には見るべき実績がない」と追及。労働者派遣法改正案などの労働法制見直しを「誤りだ」と批判した。非正規労働者の増加や貧困率上昇などを挙げた上で「日本で格差が拡大している事実を認めるか」と迫った。その上で所得税の最高税率引き上げなどの格差是正策を求めた。
農協改革では「いったいどのようにして自民党が(2014年)衆院選で公約した農業の所得倍増を実現するのか」と説明を求めた。集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制を巡り「今まで以上に自衛隊を海外で活用することが必要か」と見解をただした。戦後70年談話については村山談話で使われた「植民地支配」「侵略」などの文言を「極めて重要な意味を持つ」と指摘し、継承を求めた。
16日は岡田氏のほか、自民党の谷垣禎一幹事長、維新の党の江田憲司代表が質問に立つ。代表質問は衆院が17日まで、参院が17、18両日に行われる。【福岡静哉】