[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に向けた動きが米国の外交政策の大失敗になりつつある。AIIB設立、そして中国との影響力争いでの敗退により、米国は21世紀におけるその力と影響力が揺らいでいくという予期せぬサインを送っている。
■孤立に追い込まれた米国
中国が2013年にAIIBを設立する意向を明らかにするとすぐ、米国は同盟国に対してこの新たな計画に乗らないよう説得に乗り出した。米国側は、これまで世界銀行が貸出基準としていた政府の健全性や環境問題などの基準について、中国が主導するAIIBの貸出基準では緩くなってしまうのではないかと主張してきた。
中国の人民元=ロイター
だがこれは明らかな影響力争いでもあった。世界銀行はワシントンを拠点とし、総裁はこれまで常に米国人が担ってきた。一方、ライバルとなるであろうAIIBは上海を拠点とし、中国が主要出資国だ。
欧州の主要国すべてがそうしたように、当初日本、韓国、オーストラリアもAIIBから距離を置き、傍観することにしていた。だが、ここにきて英国が設立メンバーとしてAIIBに参加することを表明し、反AIIB陣営に明らかな亀裂を生み出したようにみえる。
筆者は先週韓国を訪問したが、同国のアナリストのほとんどは、韓国が(AIIBに)参加するのは時間の問題だろうとみている。オーストラリアは既に参加するか否かの再検討に入っており、また欧州連合(EU)各国は英国に続きそうだ。そうした中、抵抗を示している重要国は日本と米国のみとなった。この状況は米国にとって非常に不利にみえる。AIIBの欠陥をうたって、基本的に設立に反対の姿勢をとっていた友好国を結集するどころか、米国は孤立に追い込まれ、だだをこねているかのようにもみられてしまう。
■あからさまに対立姿勢弱めた中国
中国にとっては過去2年ほど、米国に対しアジアにおける影響力争いで苦戦を強いられてきたためこの状況は喜ばしい。中国が領有権を巡って近隣諸国に対し不注意にも攻撃的な姿勢をとったことで、フィリピン、日本、オーストラリア、インドなど一連の国々は米国との外交上、安全保障上の連携強化に動いた。
だが中国はこの経験から学んだようだ。中国はここ数カ月、あからさまに近隣諸国に対する対立的な姿勢を弱め、代わりに経済連携を強化したいという意向を強調するようになった。この経済連携には、中央アジアを網羅する陸路と東南アジアの水路における貿易とインフラの発展を目指す「陸と海のシルクロード」戦略が含まれる。AIIBはこの構想における資金調達で中核的役割を担う可能性がある。