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欧州連合(EU)が規則なしで存在することは想像できない。EUへの加盟を目指す国々はまず、民主主義や市場経済を機能させることについての規律を学ぶブートキャンプ(新兵訓練)さながらの訓練に何年もの時間を費やさなければならない。いったん加盟国になると、施行すべき製品規格や消費者対応から、車両の運転時間などに及ぶすべてをカバーする無数の規則が存在する。なかでも最も厄介な規則は、ユーロ圏の主権国家を縛るような規則だ。
銀行で演説するオランド大統領=ロイター
財政に関する規則は確かに単一通貨圏においてそれなりの存在意義を持つ。小国が多額の借り入れを行い、中央銀行が通貨膨張の圧力にさらされるのを防ぐ必要がある。このような理由でインフレになった場合には、1つの国の浪費によるコストを他のすべての国々に拡散して負担させることになる。このような基本行動はどんな同盟でも弱体化させる。よって、ユーロ圏が発足したとき、国の過度な借り入れを抑制することを目的とした安定・成長協定も同時に定められた。
それが理論的に失敗したのか、それとも実践面で失敗したのかについては、判断が難しい。リセッション(景気後退)においては、EUが求める理論通りの反循環政策がここ数年の景気の落ち込みをさらにはるかに悪化させただろう。実践面では、優良な加盟国になるにはEUの規則に従うことが必要だが、各国国内政治はしばしばそれと反対の行動を要求する。ここ最近の悪役はフランスだ。同国は昨秋、一方的に財政赤字の削減達成目標を先送りした。
■今年の財政赤字は4%超
フランスは前にも違反している。ドイツと共に同国は2003年に国内総生産(GDP)比3%の財政赤字制限に違反し、悪い前例をつくった。その後、両国は共同で欧州委員会が科す罰金の適用を停止させた。だがその後、フランスとドイツは別々の道をたどる。ドイツは規則違反に自国の経済改革を急速に進めることで対応し、現在では経常黒字が7%になるまで回復している。それとは対照的にフランスはずっと言うことを聞かない状態を続けている。同国は1970年代から財政黒字を計上していない。最近は改革の道をぶらぶらと歩んでおり、今年の財政赤字は4%を超える見込みだ。