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今月、スイスのジュネーブ国際自動車ショーで米フォード・モーターが発表したラインアップを見た人は皆、一様に「ブルーオーバル」(青い楕円形)ブランドの全盛期が戻ったと感じたはずだ。ミシガン州に本拠地を置くフォードはこのところ欧州事業の損失で足を引っ張られていたが、今回は大衆車である「フォーカス」と、「フィエスタ」のハッチバック型のスポーツタイプと並んで、きらびやかなフェラーリタイプのGTスーパーカーをお披露目した。
ジュネーブ国際自動車ショーに展示されたオペルの「カール」(3日)=AP
ところが、今年初めにフォードの欧州部門のトップに就任したジム・ファーレイ氏はお祝い気分とはほど遠かった。「競争はますます激化している」と語った。
ファーレイ氏の念頭にあるのは、欧州で金融危機より前から、大衆車メーカーの分野に徐々に食い込もうという流れがあることだ。
独BMWや独アウディ、独ダイムラーのメルセデス・ベンツといった高級車ブランドが、主力であるスポーツカーや高級セダンのほかに小型車や家族向け車種を次々と投入し、中間層の消費者を引き寄せている。革新的なローン商品に加え中古での売却価格が高いこともあり、競合する大衆車ブランドと比べて価格競争力をもつようになっている。
一方、韓国の自動車メーカー、起亜自動車と現代自動車が価格重視の消費者層の人気を集めている。その人気は低価格車種から始まり、徐々に価格がより高い多目的スポーツ車(SUV)まで広がる。仏ルノー傘下のダチア(ルーマニア)ブランドが手がける「サンデロ」のハッチバックタイプは英国の新車販売で6000ポンド(約107万円)と最安値の車種だが、こちらも好調だ。
■挟み撃ちになるメーカー
フォードは、欧州では米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のオペルに似ており、安くもないが高級路線でもない。欧州メーカーでは仏プジョーシトロエングループ(PSA)や仏ルノー、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も同様に、競争激化を感じている。
2006年1月から今年1月までの間に、上記5つのブランドは欧州市場でのシェアを10ポイント落とした。欧州自動車工業会(ACEA)のデータを調査会社の米エバーコアISIが分析した結果をみると、販売台数のシェアは同時期に50%から40%に低下した。昨年、欧州市場での販売台数は1250万台で、落とした分は100万台以上に相当する。
「形勢は不利になってきている」。FCAの最高経営責任者(CEO)、セルジオ・マルキオーネ氏はフィアットには台数勝負では将来がないとみている。「フィアットはもはや、大手他社のようにあらゆる車種に注力する企業ではないし、そうするつもりもない」