[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
パナソニックは液晶テレビ生産から撤退、シチズンホールディングスは時計工場の1拠点閉鎖、米マイクロソフトは携帯電話生産の2工場閉鎖…。「世界の工場」中国で、人件費の高騰などを背景に、海外の大手企業の生産縮小・撤退が相次いでいる。苦しいのは、中国各地で大規模な工場を運営し、電子機器産業の「陰の主役」といわれる台湾のEMS(電子機器受託製造サービス)企業も同じ。中国にとどまるべきか、撤退すべきか――。台湾EMS企業も、重要な経営判断を迫られている。(日経テクノロジーオンライン)
2015年2月18日から2月24日までの一週間、中国は春節(旧正月)の連休を迎えた。春節は年によって1月下旬から2月下旬まで1カ月の幅で前後するが、今年は3月も目前になってようやく、中国人にとっての新年が到来した。
年始めのこの時期は、中国の昇給シーズンでもある。経済特区として知られる広東省の深センでは3月1日から、最低賃金が月額で12%増の2030元(1元=約19円)、非正規雇用が対象の時給換算でも同じく12%増の18.5元にそれぞれ引き上げられることが決まった。うち月額では、中国で初めて2000元の大台を突破したことから、中国メディアは「2000元時代の到来」と大きく取り上げた。
■iPhone製造拠点でも賃金が急上昇
深センの最低賃金が1000元の大台に乗ったのは2008年のこと。その後、2011年に1320元、2012年に1500元、2013年に1600元、2014年に1808元、2015年に2030元と、賃金は毎年のように上がり続けている。
Hon Hai Precision Industry董事長のTerry Gou(郭台銘)氏(写真:加藤康)
EMS世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業、通称:フォックスコン)は、米Apple(アップル)から請け負っているスマートフォン(スマホ)「iPhone」の最大の製造拠点をこの深センに置いていたが、より人件費の安い土地を求めて、2010年から内陸の河南省鄭州に移した。
ただ、その河南省でも最低賃金は着実に上昇している。フォックスコンが当地でiPhoneの生産を開始した2010年には800元だったが、2014年には1400元にまで上昇。人件費が高いことを理由に深センを離れた年の水準を既に超えてしまった。
フォックスコンが深センを離れた理由の一つに、深センのある広東省や上海、江蘇省など経済的に進んだ中国沿海地区で、製造業の生産ラインで働きたい若年層のワーカーが減り、人手を集めにくくなっていることがあった。1980年代のバブル経済期の日本でも、キツイ・汚い・危険の「3K」職業が若者に嫌われたが、今まさに中国で同じ現象が起きている。その動きは沿海地区から内陸部にまで拡大しつつある。
広東省深圳市にあるフォックスコンの主力工場の一つ
■台湾EMS大手も「チャイナプラスワン」
これら人件費の上昇や人手不足に加え、日中関係の悪化など政治的リスクの高まりから、中国以外の国・地域に製造拠点を求める「チャイナプラスワン」の動きが近年、加速しているのは周知の通りだ。最近では日本の家電メーカーの販売不振も相まって、パナソニックが2015年1月末、中国におけるテレビ生産からの撤退を決めるなど、製造の中国離れが目立ち始めている。