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ソース(日経ビジネス、「上野泰也のエコノミック・ソナー」)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150227/278048/
「グローバルな金余り」を足場にした海外投資家などの買いと、公的年金・日銀が下値で買いに動く「官製相場」が組み合わさっている中で、
日本の主要株価指数が堅調に推移している。日経平均株価の2月26日終値は1万8785.79円で、「IT(情報技術)バブル」が盛り上がっていた
2000年4月20日以来の水準。TOPIXは1500を突破した。
一方、1月22日実施の20年債入札の低調な結果などを材料に急速に不安定化して、大幅に下落していた債券相場は、2月17日実施の
20年債入札が順調に終了したことから安定を取り戻しつつあり、市場参加者の心理は好転している。
一時0.450%まで上昇していた10年債利回りは0.3%台前半まで下がった。もっとも、市場としての健全な価格形成機能が失われており、
「日銀主導の需給相場」と化していること自体には変わりがない。
株式相場と債券相場の「位置関係」を把握するために筆者が以前からウォッチしており、このコラムでも一度取り上げたのが、日経平均
株価の大台(月末終値・万円単位、小数点第2位以下は切り捨て)から、その月に発行された10年債の表面利率を差し引いた数値である
(2014年12月16日配信「崩壊した株価と長期金利『1万倍の法則』」)。
1997年2月から2013年2月までの約16年間、上記の数値はゼロ近辺、より正確に言えば▲0.8~+0.5という比較的狭いレンジ内で推移
していた。日経平均株価と10年債利回りの「位置関係」は長い間安定推移し、「1万倍の法則」とでも名付けることができそうな状況だった。
すなわち、10年債利回りを1万倍すれば日経平均株価の水準にかなり近かったわけである。
■「株・債券同時高」が常態化
しかし、総裁・副総裁が交代して日銀の「レジームチェンジ」が行われた2013年3月に、上記の数値は+0.6に上昇し、レンジを上抜け。
日銀が「量的・質的金融緩和」を導入した4月にはプラス幅をさらに拡大して+0.7になった。
その後もこの数値は上昇基調。2014年9月と10月は+1.1だったが、10月末に日銀が追加緩和に動いたことが反映された11月からプラス幅
は拡大基調で、2015年1月は+1.4。本稿執筆時点では2月はまだ終わっていないが、26日時点で計算すると、日経平均株価が1万8000円台、
10年債表面利率が0.3%なので、+1.5になる<図>。
■図:日経平均株価の大台
(月末終値・万円単位、小数点第2位以下は切り捨て)から、その月発行の10年物長期国債の表面利率を差し引いた数字
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150227/278048/chart01.jpg
注: 15年2月の日経平均株価は26日終値を使用 (出所)財務省、日本経済新聞資料から筆者作成
市場がファンダメンタルズを中心材料にしながら正常に動いている場合、「株・債券同時高」は長続きしない(たとえば、景気指標が予想
より強いと株式が買われ、債券は売られる)。だが現実には、上記の数値のプラス幅は拡大基調で推移しており、「株・債券同時高」が
長期化ないし常態化している。東京市場が正常な状態でないことは、一目瞭然だろう。
理屈は後からついてくるとばかりに、「手元にお金があり、値上がりしそうだから買う」「買う人が多そうなので、流れに乗り遅れないように
買いを入れる」内外の市場参加者が日経平均株価の今世紀最高値更新の主役だとするならば、要するにそれはバブルだ。
また、15年ほど前の水準に日経平均株価は追いついたわけだが、当時はバブルのさなかだったわけであり、今回は株価上昇が経済の
実力見合いだと判断する根拠も見当たらない。米国でも「ITバブル」時代の主役だったナスダック総合株価指数が当時の高値に近づいて
おり、ベテランの市場参加者は何とも言えない居心地の悪さを感じている。
そうしたバブル的色彩を帯びた相場状況を、マスコミが一般の人に理屈でなんとか説明しようとすると、しばしば無理が生じる。また、
株価の今後に強気な一部の市場関係者のコメント内容にも、理由付けとしてかなり苦しいものが見受けられる。以下、いくつか事例を
挙げておきたい。
(>>2以降に続く)