[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
美食とアートは世界一を自負するフランス。2013年、パリのギメ東洋美術館で、フランス人たちを魅了したニッポンの展覧会「食べるアート展」が今、“凱旋”している。“美味しい”は文字通り「美しく味わう」こと。美食の概念に忠実だった北大路魯山人の世界をデジタルで味わいながら、実際に魯山人が愛した銀座・九兵衛の寿司や、フランス・ニースの星付きレストラン、松嶋シェフの料理が食べられる、レアで美味しい展覧会だ。見どころは、およそ食とはなじまないイメージがあるデジタルテクノロジーが、観る人の空腹感を募らせ、順路を進んでいくと、実際に食べられる展覧会だというところ。料理とデジタルが出会った世界を、“花より団子”のグルメ女子が体験してきた。
会場に入ると、まず魯山人作の板皿を20倍の大きさで再現した作品に出会う。どう見ても陶器なのだが、実は3Dプリンターで再現して拡大したプラスティック製だという。説明を受けて触ってみても尚、信じられない質感だ。更に進むと、テーブルの上にはやはり3Dプリンターで再現された白い器が並んでいる。その前に立つと、白い器にスポットライトがあたり、皿はみるみる色をもち、柄がつく。そしてなんと、魯山人の心を受け継ぐ老舗割烹、紀尾井町・福田家の風雅な会席料理が器に盛られる。卓上のプロジェクション・マッピングだ。先付・前菜からお造りや炊合わせ、ご飯、止め椀など、デジタルで現れる会席料理。カメラを向けずにはいられないリアルな“料理”だ。
ひと通り味わったら、次の暖簾をくぐる。そこは天ぷらの老舗、てん茂のカウンター。デジタルな料理人の手が目の前で揚げる天ぷらは、揚げる音がBGMになっていて、何だか本当に注文した天ぷらを待っている気分。手前にある自分の皿に盛られた一品は、箸を伸ばせば食べられそうな形と色を持っているが、やはりデジタル・プロジェクション。正直、ここまでくると耐えがたい空腹感に襲われる。
そこで順路を進むと、次に見えてくるのが救世主!満開の桜の木を背景に、九兵衛の寿司職人がお寿司を握っている。これは本物だ。デジタルな料理が刺激した低血糖を、ようやく満足させる瞬間だ。さらに進むと、外国人最年少でミシュランの星を獲得したニースの「KEISUKE MATSUSHIMA」の松嶋シェフが、魯山人から着想を得て作ったという真空調理の一品が待っている。魯山人がパリの有名レストラン、トゥール・ダルジャンで鴨料理を出された時、やおら風呂敷から醤油とわさびを出して食べたという話は、フランスでも伝説的なエピソードだが、これにちなんだ鴨料理だ。…