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ちょこっとイイブック (6) 女同士のラブホテル

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ちょこっとイイブック (6) 女同士のラブホテル

 

 こんにちは。この間初めて「御殿場プレミアムアウトレット」に行ってきたイチイです。いやあいいですね、アウトレット。想像以上に広い敷地で商品も豊富。ちょっとしたテーマパークといった風情で、ショッピングがてらのドライブデートに最適なスポットです(イチイは父親と行ったんですけどね)。それはそうと驚いたのは、周辺にラブホテルの多いこと多いこと。

 「マー君、こんなに買って、疲れちゃったー」
 「そうだねユッキー、このへんで休憩でもしようか」

 そんなマー君とユッキーの会話が容易に想像できます。なんとうまくできたシステムだ、と感心してしまいました。物欲と性欲、この強力な人間の欲をエサに商売をするなんてすさまじい。日本の景気もまだ捨てたもんじゃないかも?

 ラブホテル。なんとピュアな響きなんでしょう。そのあまりにストレートな表現はおてんとう様から逃げも隠れもしません。いいネーミングだと個人的には思うのですが、世間的にはそうじゃないみたいです。ラブホテルという名前を忌んで、女性誌の特集では「ブティックホテル」なんて言葉も使われていますが、こちらはなんてわかりづらいんでしょう。男と女でなんでブティックなんだ、コノ! とむしろそっちの方がいかがわしく感じます。

 他にも「ファッションホテル」「レジャーホテル」なんて言い方もあるみたいです。「レジャーホテル」なんて、5歳児連れのお父さんが間違えて入ってしまったらどうすんだ、コノ! どうも鼻息が荒くなっていけません。まあそんなにアツく語ってしまっている自分だって、イザというときには「ブティックホテル」特集をコソコソと立ち読みするんでしょう。

 女同士でラブホテルに泊まってしまったという、忘れられない思い出があります。それも、韓国で。気のおけない女友達とソウル行きの格安航空券を購入し、宿も決めずにかの地へ降り立ちました。仁寺洞で伝統茶を飲み、移動の疲れを癒したのが午後2時くらい。その後、そろそろこのあたりで宿を探すかと、ガイドブックを頼りに探索しました。

 ガイドブックに書いてあった旅館の引き戸をガラリと開けた友達は、「えっ!」と絶句し戸を閉めてしまいました。なぜかって、中に入るとすぐ右手にエロビデオコーナーがあったのです。病院の窓口のようなものがあって、中から顔のテカテカしたおじさんが出てきました。それで大体を察したのですが、韓国で旅館(ヨグァン、もしくはヨグワン、ヨーグァンと読む)というと、=連れ込み宿の可能性が高いようなんです。

 部屋を見せてもらうと、韓国伝統のオンドル式の部屋。オンドルとは床暖房のようなもので、フトンの部屋です。フトンは1つで、2つの枕にピンク色のヒーラヒラがついていました。おそるおそる「いくらですか?」とおじさんに聞くと、なんと一晩2人で3,000円程度。「安いけど、まだ考えよう」。人間の尊厳を保つために、イチイは言いました。その晩イチイの尊厳は、低価格というゆるぎない魅力の前にもろくも崩れ去り、女と床をともにするという貴重な経験ができたのでした。

 そのことを思い出したのは、角田光代さんの直木賞受賞作「対岸の彼女」を電子文庫版で読んでいるときでした。この小説、登場人物はほとんど女なんですが、主人公の女性の回想シーンで、高校生のときに親友と家出してラブホテルを泊まり歩くという個所があるんです。そちらはもちろん日本のノーマルな、いわゆるラブホテルですが。

 「旅館や民宿だとどんなに安くても二人で六、七千円はかかってしまう。ラブホテルの料金は部屋単位だから、夜のサービスタイムを利用すれば、六千円未満で泊まれるし、備品も充実しているはずだとナナコは言うのであった」

 賢い! なんと賢い娘なんだ! この個所は、この本で一番共感した部分でした。女とラブホテルを経験済みのイチイはわかる、よーくわかるぞ。だって安いもん。日本のラブホテルで女性同士の宿泊は断られないかという問題はさておき、宿泊代を節約するための賢いノウハウだと思います。しかも「夜のサービスタイム」という上級テクを使うなんて、なかなかやるなおぬし。

 しかしイチイは思うのです。小説にはラブホテル内の詳しい描写はありませんでしたが、最初はかなり気まずかったはず。イチイは忘れられません、韓式旅館で過ごしたあの日、不必要にムーディーな照明に動揺したり、隣の部屋の音が聞こえてしまったらどうしようと心配したり、しょーもないことに敏感になってました。

 また、いくら仲が良いからって、同じフトンで寝るのです。寝ぼけて過ちでも起こしてしまったら(!)どうしよう、今日という日が自分史最大の出来事になるのかしらなどと、友達が聞いたら仰天するような妄想を繰り広げておりました。しかし、小説の彼女達にはそんなバカバカしいことはちっとも問題にならないほどの強い結びつきがあり、その関係こそが「対岸の彼女」のキーとなっているのです。

 強い結びつきがなぜ「対岸」なのか? 主人公の女性2人は共に34歳で、かたや風変わりな独身の女社長、かたや結婚を機に会社を辞めた専業主婦。そんな2人を川を隔てたたとえにしたのは面白い考えだと思います。

 ちなみに「対岸」で思い出したのが、仏教用語で「此岸(しがん)」と「彼岸(ひがん)」という言葉。「彼岸」とは理想の世界で、人間の煩悩から解放された世界。人は煩悩だらけの「こっち岸」から悟りを開いて「彼岸」に行き、幸せになれる、という教えだそう。

 それで気づいたのです。この2人はお互いを理想だとは思わないまでも、自分に足りないものを知らず知らずの内に求めていたのではないかと。家出してラブホテルに泊まるような高校生と違って、結婚して子供も生まれ、まったく違う人生という向こう岸に行ってしまうと、そう簡単には川を渡ることはできません。それでも2人はある単純な作業を共にするというきっかけでじょじょにわかり合い、いきいきと生活し始めるようになる。お互いの道は違っても「Forever Friends」、そんな竹内まりやの歌のような関係っていいなァと、まだ結婚も子供もまったく予定なしのイチイは思ったのでした。

 友情深めるなら「ラブホテル」、結論はこれ。またあの子と韓国のラブホテルに行きたいものです。今度は気をつかったりしないぞ。しかし「またラブホテルに行かない?」なんて言ったら、間違いなく疑われるんだろうな……。

「対岸の彼女」著者:角田光代
 出版社:文藝春秋
 価格:1,050円
 データ形式:ドットブック
 購入サイト:電子文庫パブリ
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