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◇ア・リーグ ヤンキース1―6ブルージェイズ(2015年4月6日 ニューヨーク)
【写真】マウンド上で苦しむ田中を厳しい表情で見守るまい夫人
楽天の星野仙一シニアアドバイザー(SA=68)が、スポニチ本紙に観戦記を寄稿した。13年の監督時代に田中が24勝0敗1セーブをマークし、球団初の日本一を達成。メジャー2年目で初の大役を務めた元エースの投球は同じ投手出身の闘将の目には、どう映ったのか。
まずはメジャー2年目で名門ヤンキースの開幕投手に選ばれたことは、同じ野球人として凄いことだと思うし、うれしい。開幕投手は楽天にいた2012年以来みたいだけど、日本とメジャーで、また雰囲気も違う。でも、ヤンキースには他に投手はいないのか?将大は(昨年)肘を手術するか、しないのかと言われていた投手なのにね。
今回の大きな敗因は初回、2回に変化球を多投して抑えた配球にバッテリーが酔ってしまったことだね。特に初回の先頭レイエスがあんな手前でワンバウンドしたスプリットを振って3球三振。それで「変化球でいける」となってしまった。俺からしたら、捕手は何をやってるんやだよ。打順が一回りした3回も変化球ばかり。将大もほとんどサインに首を振らなかった。相手が「追い込まれるまでは低めの変化球を捨てよう」という雰囲気になっていたのにね。
そこで、ひとつポイントを挙げるとしたら3回無死一塁から9番、しかもルーキーに与えた四球。振ってくる雰囲気がない相手に大胆に攻めればいいのに、変化球で際どいコースばかり。数は少なかったけど、将大はいいフォーシームも投げていたし、速い球がなければ変化球も生きない。嶋(楽天)なら、もっといいリードをしとるよ。
90球という球数制限の中で試合をつくらなくては、という気持ちもあったと思う。十分につくれる能力はあるけど、ファウルを繰り返されたり、見極められたりすると無意識に「早く勝負しなければ」となる。ツーシームでゴロを打たせることを覚えるのはいいことだけど、捨て球(内角へのボール球)にすれば外角で勝負しやすくなる。でも球数制限があると、なかなか捨て球を投げられないし、3回に被弾したような失投になりやすい。これから状態が上がって球数制限も増えれば、将大らしい投球ができるようになるよ。
去年の1月、渡米する前に仙台で将大があいさつに来た時に「肩、肘のコンディションには本当に気をつけろ」と言ったのを思い出す。PRP(多血小板血しょう)療法もアスリートの成功例は少ないみたいだから、将大がそうなってほしい。
点数を付けるなら60点。次回の目標は6、7回を1、2失点ぐらいかな。三塁手もしっかり守ってほしい。まだ銀次(楽天)の方がうまいぞ。(東北楽天ゴールデンイーグルスSA)