著者は言葉の専門家ではありませんが、それでも言葉を商売道具にしているので、「言葉の持つちょっとしたニュアンス」に「ん?」と感じることがあります。
たとえば先日、関西弁の女性にお話をお聞きしているときに、その関西弁に恋しちゃいそうになりました。
そこで今回は何人かの男性に、「女性にメロメロにされてしまった関西弁」についてお話をお聞きしてきました。
さっそくご紹介しましょう!
1:かまへん
「大丈夫だからと、標準語で言われるより『かまへん』と関西弁で言われたほうがぐっとくるんですよね」(24歳・飲食)
あくまでもニュアンスの問題だろうと思いますが、「かまへん」のほうが、より強く相手を許す気持ちにあふれているように感じる……ということでしょうか。
2:○○せんとあかんのちゃうん?
「標準語で、~しないとだめじゃない! と言われたら、反発したくなりますが、関西弁で『~せんとあかんのちゃうん?』 と言われたら、そうだなあと思わず納得しちゃいます」(26歳・IT)
それとなく水を向けるときに関西弁を使ってみたら、彼は私の言いなりに! という、おいしい状況になるかもしれません。
3:あかんって!
「ダメ! と彼女が言うより、『あかんって!』 言われたほうが萌えます」(23歳・大学生)
「関西弁のAV」を探す男子もいるようで、「関西弁」というキーワードでサイト内検索ができるエッチなサイトもありますよね。この男子の証言は下ネタに基づいているものでもないのですが……。使い方もいろいろということで。
4:これヤバイな
「感動したときなどに『ヤバイ』と言う女子が多いですが、ヤバイよりも『これヤバイな』と関西弁で言われたほうがかわいい女子だなと思います」(27歳・広告)
関西弁はヤバイの「ヤ」にアクセントがきますが、こちらも言葉のニュアンスの問題でしょうか。
いかがでしたか? テレビで東京と大阪の民度を比較する企画がときどき出てきますが、ああいうのを見てもわかるように、関西人は人懐っこく、人のことを放っておけない傾向があり、それがそのまま関西弁に反映されているようです。
彼をメロメロにしたければ、関西弁をうまく使って、彼との距離を上手に縮めてみたらえんとちゃうか? せや、それがええわ!
(ひとみしょう)「あんなの、かわい子ぶってるだけじゃない!」
「計算高い女なんだから、だまされちゃだめだよ!」
こうした言葉が女性の間ではよく聞かれます。いわゆる「ぶりっ子」をしている、女性らしい女性にぞっこんになっている男性に対して、投げかけられるものです。
陳腐なかわいらしいしぐさや言葉を多用して、男性に対して媚びるような、計算した接し方をしている女性。彼女たちは「ぶりっ子」、「計算高い女」として、一部の女性たちから敵意の対象として見られています。
そうした「ぶりっ子」な女性たち(特に、美人というわけではないけれどもぶりっ子をしている女性)や、「ぶりっ子」たちに熱を上げる男性たちを強く非難することは、女性の間では一般的。あなたも「ぶりっ子」な女性はあまり好きではなく、冒頭のようなセリフを言うことが多いかもしれません。
ところで、この「ぶりっ子」。よくよく考えてみると、似た立ち位置のキャラクターが男性にもあります。
――それは、「雰囲気イケメン」。
「雰囲気イケメン」とは、顏自体がとても整っているわけではないけれども、服装や髪形、仕草からイケメンな雰囲気が漂っている男性のことを指して使う言葉です。若手俳優についても、「あれはイケメンじゃなくて雰囲気イケメンだ」といった批判を見ることも多いですよね。
だいたいの女性はこの「雰囲気イケメン」に対して「かっこいいからいいじゃない!」と高評価を下します。ところが男性たちはそれに対し、「あんなのカッコつけてるだけで、本当のイケメンじゃないじゃないか!」とののしる。この構図、どこかで見たことありませんか? そう、「ぶりっ子」をめぐる男性と女性のやり取りと、ほぼ同じなのです。
ぶりっ子と雰囲気イケメンが似ているという事実が表すのは、雰囲気イケメンにぞっこんになってしまう女性たちも、ぶりっ子にだまされる男性たちとほぼ同じだということです。
そう、女性たちだって、雰囲気イケメンにだまされてしまうのだから、ぶりっ子の女性や、彼女たちにだまされる男性たちに目くじら立てるのはフェアではありません。
あなたも、雰囲気イケメンにだまされるときって、多少意図的にだまされているところもありますよね。「この仕草、狙ってやっているんだろうなー……でも、かっこいいからいいや。」などと言った感じで。実は、「ぶりっ子」にだまされる男性たちも同じ心理なわけです。
私は個人的に、「ぶりっ子」をすることも「雰囲気イケメン」を演じることも、異性に対して接するうえではもはや一つのマナーだと考えています。…