【ワシントン西田進一郎】中山泰秀副外相は19日、米政府が主催する「CVEサミット」で、中東・アフリカ地域のテロ対処能力を向上させるため国際機関を通じて約1550万ドル(約18億4000万円)の支援を行うと表明した。イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)による日本人人質事件を受け、表明済みだった750万ドルの支援策に800万ドル上積みした。中山氏は「暴力的過激主義に立ち向かわなければならない」と語り、外国人戦闘員の戦闘地域への流入阻止などに貢献する決意を明らかにした。「穏健な中東諸国」への人道支援を拡充させる考えも示した。
サミットで中山氏は、ISが日本人などの人質を殺害していることを強く非難するとともに、現地対策本部長として滞在したヨルダンや世界の指導者らに謝意を伝達。暴力的過激主義に立ち向かう決意も強調した。
また、多くのイスラム教徒が暮らす東南アジア諸国連合(ASEAN)域内で、ISの影響への懸念が高まっていることから、日本がASEANと連携し、過激主義を生み出さない社会づくりに取り組む考えも表明した。献金問題を巡る西川公也前農相の辞任で空転していた衆院予算委員会は25日午前、安倍晋三首相と全閣僚が出席して審議を再開した。首相は西川氏の辞任に関し「私が任命した閣僚が交代する結果を招いたことについて、国民に大変申し訳ない」と改めて陳謝した。西川氏の献金問題については「法的な意味においてはしっかりと説明責任を果たしている」と述べ、違法性はないとの認識を示した。【福岡静哉、水脇友輔】
首相は自らの任命責任について「閣僚が能力を発揮し、国政を進める方向で実績を残せるかどうかについて全体として私は責任を負っている。道半ばで結果として辞任に至ったことは当然、私が全責任を負っている」と認めた。その上で「若者が魅力を感じる農業、農村の所得倍増を目指し、大改革を力強く進める決意はいささかも変わらない。しっかり政策を前に進め、結果を出すことによって責任を果たしていく」と強調した。「経済再生をはじめ内外の課題が山積する中、緊張感を持って今後も政権運営にあたっていく考えだ」とも述べた。
西川氏に対しては「国民の疑問に対しても、しっかり説明をする必要がある。大臣を辞めたが、要求があれば資料を出すなり対応を取ることは議員としては当然だ」と指摘。西川氏が顧問を務めていた企業に関する資料を衆院予算委理事会に提出し、説明責任を尽くす必要があるとの認識を示した。民主党の馬淵澄夫、玉木雄一郎両氏への答弁。
馬淵氏は、西川氏が23日の辞任表明の際に「説明しても分からない人は分からない」と述べたことや、首相が今月19日の衆院予算委での審議で西川氏の献金問題を巡る質問中に答弁席からヤジを飛ばしたことに触れ「問題に対し真摯(しんし)に取り組む姿勢がない。首相自らが『政治とカネ』の問題に目をそらしている」と批判した。
民主党の後藤祐一氏は「任命時点で(不祥事の有無などを調べる)身体検査が甘かったのではないか」と指摘。首相は「知り得る限りをチェックすることはあるが、国家権力を活用して本人のプライバシーに入ることはしてはならない。政府と議員という関係もあり、限界がある」と述べた。
衆院予算委は、23日まで3日間予定された基本的質疑が終わった直後に西川氏が辞任したため、野党側がやり直しを要求。協議した結果、25日に4時間の補充質疑を行うことになった。