楽天は１９日、電子書籍の貸し出しサービスを手掛ける米オーバードライブ社（オハイオ州）を買収すると発表した。発行済みの全株式を約４．１億ドル（約４９２億円）で４月に取得し、完全子会社化する。楽天の電子書籍販売サービス「Ｋｏｂｏ（コボ）」と連携することで、電子書籍市場でリードする米アマゾンに対抗する。
　
　　オーバードライブ社は、図書館や学校などに電子書籍を貸し出すサービスを世界約５０カ国で展開。米国では８割の図書館で同社のサービスが利用されている。利用者は図書館などで発行される貸し出しＩＤを使って、スマートフォンなどの端末から電子書籍を借りることができる。一定期間が過ぎると読めなくなる仕組みで、返却などの手間も省ける。
　
　　両社の利用者数は計４４００万人。楽天としては、オーバードライブの基盤が強い米国でコボの利用増につなげると共に、欧州や日本を含むアジアなどでは電子書籍の販売と貸し出しを組み合わせたサービスなどを展開して進出を加速させる。
　
　　東京都内で記者会見した楽天の相木孝仁常務執行役員は「教育分野は大きな可能性がある。（赤字の）電子書籍事業は２０１５年に黒字化に近づく」と述べ、収益向上につながるとの見通しを示し、数年後には売上高１０億ドル（約１２００億円）を目指すとした。【横山三加子】