男子テニスのメンフィス・オープン男子シングルスで３連覇を果たした世界ランキング５位の錦織圭選手（２５）の出身地・島根県で「テニス熱」がかつてない盛り上がりを見せている。日本人初の準優勝を成し遂げた昨年９月の全米オープン以降、テニス人口が急増。小学校のクラブ活動化など、過疎化に悩む行政も新たな施策を検討している。目指すは「テニスの街」だ。
　
　　県の人口は昨年４月に７０万人を下回り、少子高齢化が際立つ。スポーツ少年団の団員数も２００４年の８７６３人から１４年には６２０１人に減り、野球やサッカーなどメジャー競技でさえチーム存続が厳しい地域もある。そんな逆境の中、松江市生まれの錦織選手は「期待の星」。おとなしいといわれる県民を熱狂させている。
　
　　県テニス協会によると、ジュニア対象の普及イベント参加者は５年前の開始当初３０人ほどだったが、昨秋以降１００人以上に。協会登録の競技人口も１月調査で前年比１２０人以上の増。趣味で楽しむ人も増え、県内のテニスコートの稼働率は同約４％上昇した。
　
　　錦織選手が通った松江市の「グリーンテニススクール」は昨秋だけで受講生が１０人ほど増加。錦織選手も指導した柏井正樹コーチ（５４）は「地方で１０人というのは大変な増加。裾野が広がっていると実感する」と話し、背景にテニスが団体競技と違って少人数でできることを挙げる。
　
　　有望な後輩も出てきた。錦織選手の母校、開星中学校（松江市）テニス部は昨夏、女子ダブルスで全国制覇。その一人、宮内理瑚さん（１５）は「身近な日本人選手が世界でトップを狙えるとは思ってもいなかった。世界一が夢ではなく、目標に変わった」と目を輝かせる。
　
　　こうした状況を受けて、松江市は来年度から小学校５校ほどをモデル校とし、クラブ活動での硬式テニス採用を検討している。児童が２週間ごとに１時間、好きなスポーツを選ぶ中に加える案だ。小学生が硬式テニスに接する機会は少なく、実現すれば全国的にも珍しいという。
　
　　県テニス協会が指導者を学校に派遣する予定で、芦山洋子・同協会事務局長は「錦織選手の功績をテニス人口の裾野を広げる活動につなげたい。ジュニアの育成を強化し、将来は『テニスといえば島根』をぜひ目指したい」と期待を込める。【長宗拓弥】愛知県警中署は１６日、ラグビーのトップリーグ・豊田自動織機シャトルズの選手、シオネ・テアウパ容疑者（２８）＝同県刈谷市小山町７、トンガ国籍＝を傷害の疑いで現行犯逮捕したと発表した。
　
　　容疑は１５日午前２時３５分ごろ、名古屋市中区栄２で、タクシーの男性運転手（５１）を殴るなどし、顔などにけがをさせたとしている。「酒を飲んでいたので覚えていない」と話しているという。
　
　　同署によると、同容疑者は同区錦３で乗車したが、行き先を告げなかったため運転手が降車を促したところ、怒り出したという。
　
　　チームのホームページによると同容疑者は身長１８６センチ、体重１０３キロで、７人制ラグビーの元日本代表。
　
　　豊田自動織機広報部は「事実関係を確認し、厳正に対処する」とのコメントを出した。【駒木智一】