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紀伊半島南東沖の深海底に泥状の堆積物が噴出した「泥火山」を探査船「ちきゅう」で掘削し分析したところ、大地震の震源域となる南海トラフのプレート境界付近から上昇してきた水分が含まれていたと、海洋研究開発機構の西尾嘉朗技術主任や琉球大の土岐知弘助教らが14日までに発表した。
この水分は海側プレートが陸側プレートの下に沈み込むのに伴い、岩石から分離された水と考えられる。プレート境界が急に滑って起きる地震には水分が関与しているとの見方があり、分析結果は境界付近の状態を解明する手掛かりになると期待される。
ちきゅうで2009年と12年に掘削したのは「熊野海盆第5泥火山」で、1944年に起きた東南海地震の震源近くにある。水分に含まれるリチウムの同位体比率から、かつて210~310度程度の高温になったことが判明。海底下15キロ以上の深いプレート境界付近から湧いてきたと推定された。
論文は国際的な科学誌「アース・アンド・プラネタリー・サイエンス・レターズ」電子版に掲載された。